燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
私はそっと先生の頬に触れる。その手を先生は上から握り締めた。
もう、先生の手は、先ほどのように冷たい手ではなかった。
「だからね、これからもずっと私だけを見ていて」
私が言うと、先生は、もちろん、と微笑んだ。
私は、よろしい、と偉そうに返して、自分から先生にキスをした。
驚いたように先生が目を丸めて、それを見て私は笑う。
「驚いた? 私だってやられっぱなしじゃないのよ?」
先生を見上げていたずらっぽく笑うと、先生は困ったように笑って。その笑顔に急に胸がドキドキしだして。恥ずかしくて目をそらしたら、反撃されるように唇を合わされた。
「……つばめ」
先生は唇を離したあと、少し戸惑うように私の名を呼んだ。
大丈夫。
もし、先生が後悔を少しでも残していたとしても、
私はその後悔を全部全部失くしてあげる。
私は先生の背に腕を回す。ぎゅう、と強く抱きしめると、先生の心臓の鼓動がこちらまで響いてきた。それにくすり、と笑って、先生を見上げる。
「うんと優しくしないと許さないですからね」
「あぁ……もちろん」
先生は頷いた。
「……私、これが『初めて』なんですから」
「つばめ、ありがとう」
また交わされるキスは深くて、でもとても甘くて。
私は何度も何度もその感触を楽しむように、先生とキスを交わした。