燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
拓海は、あたしを安心させるようにふっと笑って、
「今日、工藤んとこ行ってきたんでしょ?」
「うん」
「つばめ?」
手をあたしの頭の上に置こうとする。
あたしは思わずその手から身体をそらすと、「そういえばね、旅行先見つけたの! よさそうなとこ。お部屋に露天風呂がついててね! ちょっと高いけど、いいかな?」
「……もちろんいいけど」
「よかった」
と作り笑いをした。
心臓がやけに大きな音を立てる。
拓海にまで、触れない。触れてもらえない。
泣きそうになるのを必死でこらえた。