燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「拓海、お願い。して?」
あたしがまっすぐ拓海を見ると、拓海はすっとあたしの頬に手を添えた。
その瞬間、あたしの身体はビクンと反応して、視界がぼやける。
「触れただけでこんなに震えてるのに? 無理だよ……」
「あたし、拓海になら何されてもいい」
「そんなことできない。もっと傷つくことになる」
「傷つかない。あたし、今日が初めてで、怖い記憶も全部拓海にされたって覚えておきたいの! そしたらきっと、あたしは……忘れられるから」
あたしは唇を噛んで、自分の手を握り締める。
「つばめ」
「拓海が『あたしのために』悪い人になれるなら、して。お願い」
あたしはまっすぐ拓海を見る。
そして拓海の頬に触れた。
自分でもわかってる。
あたしは拓海に、酷い事言ってるって。