燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 仲居さんが部屋を出た後、あたしは拓海にまっすぐ向き合った。

「あたし、拓海とここで……えっちしたい」

 拓海は困ったように黙り込む。
 先に沈黙を破ったのはあたしだ。


「だめ?」
「……前も言ったでしょ。それに今は特に……」
「いや」
「つばめ」

 なだめるような拓海の声。
 あたしは首を横に振る。


「あたし、拓海としたいの」
「どうしたの、つばめ」
「拓海、あたしのいう事なんでも聞いてくれたじゃない」
「それは……」
「同情してたの? あたしが、襲われたから?」

「ちがうっ!」

 拓海が聞いたことない声で怒鳴って、あたしはびっくりして拓海の顔を見る。「なんでそんなこと言うの……」


 拓海は泣きそうな……すごくつらそうな顔であたしを見た。
 あたしは唇を噛み締める。

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