燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 するとそこに工藤先生が入ってくる。

「あの二人、相変わらずだね」
「見た? あの天馬の顔。デレデレしちゃって、頬が落ちるんじゃない」
「あはは」

 工藤先生は楽しそうに笑った。


「でも……あんなに楽しそうに笑って。……つばめちゃん、元気そうでよかった」


 私が言うと、工藤先生は少し苦い顔をする。

「……んー悪くはない。けど、よくもない、かな」
「それ、どういうこと?」

 工藤先生はまじめな顔になって話し出した。


「天馬はね、つばめさんの記憶を塗り替えようとしてる。つばめさんはその新しい記憶に乗って、前の記憶とはすっぱり人格を分けようとしている。本人は『つばめ』と『つばめちゃん』って呼んでる」


 私にはよくわからないが、
 心療内科の工藤先生にとってはなにか問題を感じるようだ。
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