燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

「やっ……みないで」

 その手を天馬先生はそっと掴む。
 その熱にもドキリとする。


(ちょっとまって、ここ病院ですーーーー!)


「手、のけて?」
「先生っ、だめ」
「ほら、また間違えた。それ、わざと?」
「ちがっ……!」

「ふうん」

 天馬先生が低い声でつぶやいて、私の唇を触って妖艶に笑う。
 ひ、と声が出そうになった時、院内コールが鳴った。


(助かった! いや、救急だから患者さんは心配だけどーーーー!)


 天馬先生は、今日の処理終わったら先に帰ってて、僕も早めに帰るから覚悟しててよ。と、心臓に悪い言葉を残して、足早に救急センターに向かっていったのだった。


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