燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


「何の覚悟……」

 私がつぶやいて歩いていると、工藤先生が私を見つけて微笑んだ。

 最近、工藤先生の笑顔に癒される……。


 工藤先生とはいつのまにか仲良くなって、今では一条先生と工藤先生は二人でよくうちに遊びに来るようになった。
 だからてっきり、私は工藤先生と一条先生が付き合っているのかと思ったけど、全然違う、と二人とも真っ向から否定した。二人とも別に相手がいるようだ。



 工藤先生は私の近くまで来ると、
「また天馬に何かされたでしょ」
と笑う。

「え?」
「ここ、またつけられてるよ。嫌だよねー、独占欲の塊」

 指さされたのは首の後ろ。
 さっきそう言えば……。

 私はバッとそれを手で覆うと、泣きそうになる。
 そんな私を見て、工藤先生は、はは、と楽しそうに笑った。

(笑い事じゃないですけどね―――⁉)


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