燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~


 思わず言っていた。
 思い出したのは昔の光景だった。

 私は子どもで……たぶん小学生くらいで。
 木に登って、降りられなくなって。


 天馬先生に似た男の子が来て。
 ……私を助けた? いや、私が飛び込んだんだ。



 天馬先生を見ると、先生は嬉しそうに目を細めて頷く。
 そのとき、私の中にもう一つの感情が生まれた気がした。

 そう、なんだか懐かしい。
 天馬先生に、飛びつきたくなる、子どもみたいな感情。

 それと同時に彼に託したものを思い出す。


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