燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~

 天馬先生は私を椅子に座らせると、自分も隣に座って、スマホを取り出す。
 そして、その中にあったデータを再生した。


 スマホからは、

『……拓海、聞こえる? 今日は6月30日』

 私の声が聞こえた。



 6月30日って……。
 3年前、私が事故に遭った日。

 そして、実はそれは、このお腹の子の出産予定日だ。



 私が驚いた顔で天馬先生を見ると、天馬先生は笑った。


『って言ってももう夕方だよ。空はオレンジ色。拓海は急患で病院に行っちゃった。そのまま夜勤だって。あたしはうちで一人拓海の帰りを待っています』


「あのときの、つばめの声だ」

 天馬先生は嬉しそうに耳を澄ます。
 私もそれに聞き入った。

< 330 / 350 >

この作品をシェア

pagetop