春永すぎて何が悪い?
お互いにシャワーも浴びて、あとはもう寝るだけ。

明日はまた仕事。
相変わらず朝は早い。

いつもは布団に入る時間。

龍樹はゲームを始める。
たぶん毎日、私が眠りにつく頃にやってるやつ。

どうしよう。
寝ようかな。

寝たら、今日が終わる。
何もないまま終わる。

龍樹に触りたい。
触りたいし、触られたい。

床に座ってゲーム画面に夢中な龍樹。

私は思い切って、体が触れるくらい近くに座る。

「寝ないの?」

ゲーム画面から目を離すことなく聞いてきた。

「うん、そろそろ寝るよ?」

私の気持ちに気付いてほしい。

触れる腕と腕。

ねえ、せっかく休み合わせたのに、今日が終わっちゃうよ?

多分そんなこと、龍樹はどうでもいいんだ。

私と龍樹は、付き合ってる期間が長すぎて友達になっちゃったのかもしれない。

私のこと、女としてもう見てくれてないんだ。

「見て。」

龍樹がやっと私の目を見てくれた。

「この人、ダンさんに似てない?」

画面の中の登場人物を見せてくる。

「似てる。」

そう言って私は一人寝室に消えた。

終わった。
龍樹が髪を切っただけの一日で終わった。

手すら繋げなかった。

触れたいし、触れられたい。
けど、龍樹はそういうのもう思わないのかも。

こんな夜は漫画を読む気にもなれない。
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