生贄になる予定が魔界の王子に頭突きを食らわせてしまいました
「これぐらい解れていれば大丈夫かな。思ったより、僕も余裕が無くてすみません」

 そう言いながら取り出された猛りを、ぐっと押し付けられる。

「唾液の効果のおかげで初めてでも痛くはないと思うんですが……」

 突き立てられた存在の圧迫感に息が止まるかと思った。

 息を吐いて感覚をやり過ごそうとするアリシアの口をクライヴェルの口が塞ぐ。

「飲んでください。少しでも楽になるかもしれないから」

 差し込まれた舌に、自分からそれを絡めて応えた。

 苦しいだけだった感覚が悦びに塗り替えられていく。

「アリシアどうですか? 気持ち良い? この感覚は好き?」

 原始的な欲望に頭を占められて、もうそれしか考えられない。

「アリシア言って。どうか、好きだと言ってっ」

「好き、好き…っ、気持ちいい、好き……!」

 無我夢中で目の前のクライヴェルの首にしがみつく。

 瞬間、体内で熱いものが爆ぜた気がした。

「アリシア、どうか次は僕自身(ぼくのこころ)を好きになってください」

 そう切なげに青い瞳を揺らす魔族はなんだかとても愛しく見えて。

 込み上げる感情に動かされるままにその唇の傷へと口づけて、アリシアは自分の意識を手放した。

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