捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「小さいころからみたかった」
その言葉に私は冷ややかな声で、祥吾さんに答える。
「自分でそれを放棄したのに」
「お前が俺に言わなかったからだろ?」
「言えなかったんじゃない。連絡を絶ったのは自分じゃない」
つい声が大きくなり、私は慌てて口をつぐむ。
「連絡を絶たせたのはおまえだろ?」
言われた意味が解らず、私は昔のことをグルグルと思い出す。
私が何をしたというのだ。いきなり部署を飛ばされ連絡すらくれなくなり、自分は婚約をして。
私の何が悪かったというのだろう。
「意味がわからない」
怒りを押し殺して言った私に、祥吾さんはビールをグイッと煽るとジッと私を睨みつけた。