捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「差し支えなければどなたが来るかだけ伺っておいても?」
「ああ」
俺は少し言葉を止めた後、和泉さんに申し訳なくて表情を歪めた。
「君もよく知っている人物」
それだけで理解をしたようで、和泉さんは小さくため息を付く。
「あまり遅くならない程度の仕事を依頼してください。私たちの時間が減ります」
珍しく私情を挟んだその答えに、俺は苦笑する。
俺が連絡をした相手は、彼女の旦那で俺の高校からの親友の和泉龍一郎だ。
今は東和の本社で監査や機密情報を扱う部署にいる。そんな龍を呼び出したのはほかでもない。少しでもあの時の真相を調べたかった。
紗耶香を信じられなかった償いはどんなことをしてもするつもりだが、俺達を陥れたやつを許す気になどならない。
もちろん、一番悪いのは俺なのはわかっている。
しかし、今ももしかしたら情報を漏洩させ、会社に多大な損害を与えたやつがのうのうと働いているかもしれないのだ。
そんなことトップとして放置できない。
そう思うと、俺は今日の仕事を急いで始めた。