捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました


「瑠偉、眠いね。歯磨きしちゃおうね」
私は慌てて瑠偉を椅子から降ろすと、歯を磨きに洗面所へと向かった。
磨き終えると、瑠偉はコロンとソファの上に寝てしまい、私たちは一様に笑顔でそれを見ていた。

「かわいいな」
呟くように言った祥吾さんをそっと盗みみていると、不意に祥吾さんが私の方へと向き合う。見ていたことがバレてしまったかとドキッとするも、祥吾さんは表情をかえることなく口を開く。

「そろそろお暇しようか」

「ああ、うん」
瑠偉が眠ってしまい片付けもいつのまにか慣れた様子で母が終えていて、祥吾さんは両親にお礼を伝えつつ立ち上がった。


「祥吾くんいつでも来なさい。あなたはもう私の息子なんだから」
そんなことを言われても祥吾さんが困るのではないか。不安な気持ちで祥吾さんを見れば、とても嬉しそうな笑顔を浮かべていた。私のいない時間に何があったというのだろう。

「ありがとうございます。とても楽しかったです」
それは心からの言葉に聞こえた。

「じゃあ紗耶香、またね」
ヒラヒラと手を振るお母さんに、私も慌てて「ありがとう」と伝えた。
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