捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「紗耶香、今日も先に帰ってくれ」
パソコンを見ることなく言われたそのなぜか冷たく感じる言葉に、私はきゅっと唇を噛む。いや、忙しいのではなく、もしかしたら婚約が決まったため、私を避けているだけかもしれない。そんな気さえしてくる。
今日は金曜日だ。いつもならこの後一緒にいることがほとんどだった。しかし、元々付き合っているわけでもない私が何かを言えるわけもない。
ピリッとした空気が漂っている気がして、私は小さく息を吐くとパソコンをシャットダウンする。
それに今日こそは薬局に寄りたいと思っていた。
「お疲れ様です」
そのまま祥吾さんをみることなく、私は部屋を後にした。外に出ればもうすぐ十八時になろうとしているが、日は高くまだ暑い。少しめまいを覚えつつ私は駅へと向かう途中で薬局に向かう。
念のためよ。
自分に言い聞かせるように心の中で呟くと、私は勇気を振り絞り妊娠検査薬を購入する。
バクバクとした落ち着かない気持ちのまま家へと変えると、買ってきた紙袋を手にしばらく座り込む。