捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「立花、入れよ」
少し苦虫を潰したように言いながらも、鏡花さんの体調などを気遣うように二人で廊下を歩いて行くのを、少し切なくなりながら見つめる。
私はこうして案じてくれるのは、両親だった。それで十分だったが、やはり少し羨ましくなってしまう。

「紗耶香ちゃん、座って」
広いリビングのダイニングテーブルにはすでにおいしそうな料理が並んでいて、鏡花さんが専務を待っていたことがわかる。
いそいそと、私の分の準備をしてくれる鏡花さんに、私は慌てて声を掛ける。

「私の分は大丈夫なので」

「え? 食べて行けばいいじゃない。いっぱいあるわよ」
茶碗を持ったまま鏡花さんは私に問いかける。

「立花、食べて行けばいいだろ?」
スーツからリラックスした普段着に着替えて戻ってきた専務も私に声を掛けてくれる。
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