捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
「ママのえをかいたんだよ」
「本当? 可愛く書いてくれた?」
瑠偉は水のかかった顔を慌てて拭きながら、私に大きく頷く。
「じいじとばあばもかいたんだ」
その言葉に私はドキっとする。どんな題で絵を描いたのだろう。
まだ、幼稚園の年少さんになる前の年で、そんなに理解もしていないし、絵も何かわからないぐらいだろう。
私と両親の愛情をかけているつもりだが、父親がいないことを気づきだす年だろうか。
父親がいなくても大丈夫。そう思って今までいたが、祥吾さんと再会をして顔を見てしまってから、このまま黙っていていいのだろうか。そんな気持ちが芽生えてくる。
「そうなんだ。見るの楽しみだな。瑠偉の絵」
私の言葉に満面の笑みを浮かべてくれる瑠偉に、私は無理に笑顔を張り付けた。