捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました

「瑠偉、俺も家に行っていい?」
「いいよ」
何もわからない瑠偉は、無邪気に答えてしまう。

「やめて! どうするつもり!」
つい叫び声をあげて、私は祥吾さんを睨みつけるも、歩きながらサラリとすごいセリフを口にする。

「きちんと挨拶をするだけだ」
「はあ、挨拶ですって!」
つい言葉が大きく強くなり、瑠偉が泣きそうな表情を浮かべる。

「子供の前で声を荒げるなよ」
いきなり現れたくせに親ぶる祥吾さんに苛立ちが募るも、瑠偉のその怯えた顔に私はギュッとこぶしを握り締めると怒りを我慢するように唇をかみしめる。

「今日は待って」
静かに言った私に、祥吾さんは冷笑を浮かべて私を見る。

「無理だ」
どうして無理なのか、それ以前にどうしてこんな私の家の近くにいたのか。
分からないことだらけの私は動けずにいた。
しかし、迷いなく歩いていく祥吾さんに、すでに家の場所を特定されていることに気づいた。

「どうして?」
もはやただ零れ落ちた言葉に、祥吾さんは不敵な笑みを浮かべただけだった。


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