捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
それぐらい、祥吾さんが私を見る視線は、瑠偉に向けるものとは違い冷たいものだった。
今更現れた息子をどうしようというのだろう。そんな思いがよぎる。
大企業の息子として、有益な人と結婚し、後継ぎを作ることが決まっていたから、私たちみたいな遊べる女としかつきあってこなかった人だ。
結婚してみて何かうまくいかなかったのだろうか? そんなことを思うも、今更瑠偉を渡すことなどできない。
「紗耶香、絶対に戻れよ」
昔のように軽い言い方の中にも、ゾクリとするほど拒否することのできない怒気を含んだそのセリフに私は無言で足を前に出した。
「返事はなしか、わかった」
そう言うと、祥吾さんは私の横に足を進めると、瑠偉を抱き上げてしまう。
「戻ります! だから瑠偉を取らないで」
涙ながらに言った私を無視するように、祥吾さんは瑠偉に話しかける。