きみのため
「──あああっ!」
焼けるような激痛に、
全身から冷や汗がぶわりと滲む。
呼吸が荒くて、吐き気すらした。
刺されているのに血が出ない。
それは…綺麗に貫通しているからで…
肉が冷たい異物に直に触れている。
そんな感覚に、喉が痙攣した。
「ごめんね、痛いね…。
でも、真央が逃げようとするからだよ?」
こんな状況なのに、紫乃くんは穏やか。
愛おしそうに、
汗が何筋も伝う頬にキスをしてきた。