嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 すっかり慣れ親しんだ礼の部屋に戻った美琴は、畳の上に正座してさきほどの丸代の言葉を思い出していた。

『お出迎えを楽しみにしてるでしょうね』

「お出迎え、すべきかな? でも待ちわびてたみたく思われないかな?」

 そんなふうに思われたら癪だ。全然待ってなんかいないですよって顔で寝たふりでもしておいたほうがいいだろうか。

「寝てたけど、物音で目が覚めたって感じで出ていくのはどうかな? よし、それでいこう」

 美琴がそう決意した瞬間、目の前の襖がすっと開いた。

「わぁ!」

 驚きのあまり美琴は後ろにごろんとひっくり返る。高い天井を眺めながら、思った。

(ジーンズでよかった。不幸中の幸いだわ)

 スカートだったら礼の前でパンツ丸出しになるところだった。そんなの、恥ずかしすぎてとても立ち直れない。礼は苦笑しながら、美琴に手を差し出した。彼に支えてもらって、美琴は身体を起こした。

「なにをひとりで遊んでるんだ?」
「遊んでたわけじゃ……礼さんが予定より早いからびっくりして」

 せっかく考えた寝ていたふり作戦も実行できなかったし、会う前にメイクや髪型も変じゃないか確認しておきたかったのに。美琴はやや不満気に口をとがらせた。

「君と過ごす夜は長ければ長いほどいいからな。仕事を早々に切り上げてきた。それなのに、そんな顔をしてるな」

 礼の親指が美琴の唇をなぞる。
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