嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「あ……」
「会いたかった、美琴」

 礼に極上の笑顔を向けられて、美琴は気がついてしまった。

(ダメだ。礼さんは騙せたとしても、自分の気持ちはごかませない。私、待ちわびてた。礼さんに会いたくてたまらなかった)

 自覚してしまったその気持ちを、美琴はもてあました。私も会いたかった。そう素直に伝えられたらいいのに、気恥ずかしくてどうにもできない。

「お、お帰りなさい」

 それだけ言うのが精一杯だった。だけど、礼はこのひとことだけで心の底から嬉しそうな顔をしてくれる。

「うん、ただいま」

(礼さんのバカ。こんな顔見せられたら……私、勘違いするよ。わかっていても、勘違いしたくなる)

「昨夜はよく眠れなかった。いつの間にか、君がいないと寝つけない体質になったようだ」

 ゆっくりと、焦らすように、礼の唇が近づいてくる。触れ合った瞬間、胸の奥がきゅんと疼いた。これまでとは少し違う、特別な感情の芽生えに美琴は戸惑う。
 痺れるように甘く、切なく、少し痛い。決して堕ちてはいけない深みにハマっていくのを自覚しながら、美琴は礼のキスを受け入れた。

「はぁ」
「そんな表情は初めて見る気がするな。俺が、欲しかったか?」
「んっ。そんなこと」
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