嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「わぁ!」

 まろやかな抹茶色の羽織袴を着た礼はいつにもまして素敵で、美琴は思わず感嘆の声をあげた。

「きりっとした色も素敵だけど、こういう優しげな色も似合いますね」
「君も、よく似合ってる」

 礼に見つめられて、美琴は照れながらも微笑んだ。

「えへへ。馬子にも衣装ってやつで」

 今日の美琴は、華やかな大振袖に身を包んでいる。目にも鮮やかな翡翠色の地に古典的な花丸文。礼が選んでくれたものだ。

「艶やかでありながら、古風なかわいらしさもあり、この花丸文の絶妙な色合い!控えめに言っても、最高傑作ですよねぇ」

 美琴はうっとりと自身の着物にみとれている。礼はちょっと呆れた顔で肩をすくめた。

「君は着物の話になると本当に饒舌だな」
「そりゃ、もう! 愛してますからね」
「その情熱を少しは俺にも向けてくれ」

 礼はふっと口元を緩めながら、そう言った。

(向けていいものなら向けたいんですけどね……)

 美琴は涼しげな礼の横顔をそっと盗み見る。

(わきまえなきゃってわかってるけど、礼さんにエスコートされてパーティーだなんてお姫様にでもなったみたいだなぁ)

 ダメだと思いつつも、美琴は浮かれていた。


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