嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 初めての男性(ひと)だから、意識してしまっているだけ。最初はそう思っていた。でも違う。それだけじゃない。彼のこういうまっすぐなところに、たまらなく惹かれていく。

(私も少しだけ素直になってみようか)

「あの、礼さんっ」
「ん?」
「さっきの言葉……嬉しかったです。ありがとうございます」

 美琴が言うと、礼は白い歯を見せてくしゃりと笑った。

(うぅ、かわいい。かっこいいのに、かわいいなんて反則だよ)

 たとえ今だけだとしても、今このときを彼と過ごせる喜びを、美琴はかみしめた。

「礼さん」

 背中にかけられた鈴の音のような清らかな声に、美琴と礼は振り返る。ついさきほどまで話題にしていた人物が現れたので美琴は少し驚いた。近くで見ても、やっぱりとびきりの美人だ。

「今日はお忙しいなか来てくださって、ありがとうございます」

 まりえの優美な笑顔に、美琴は魅了されてしまった。

(わぁ~。華やかで気品があって、リアルプリンセスだわ。この美貌で超がつくお嬢様か。神様ってつくづく不公平よね)

 すっかり彼女の虜になっている美琴と違い、礼はビジネスライクな口調で彼女に答えた。

「こちらこそ。お招きいただき光栄です。お誕生日おめでとう」
「うふふ。もう素直に喜べる年でもないんですけどね。それより、こちらの方は?」

 まりえは美琴をちらりと見ながら言った。
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