嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
(そう言われてみると……いつも優しくて、式を挙げてご両親にも紹介すると言ってくれて、婚約指輪までもらったし)

 礼に落ち度はまったくない。でもそれでも、美琴はずっと不安で愛されている自信なんて持てなかった。

「契約を果たすための演技かな〜なんて思ったり」
「そんな意味のわからん演出はしない」

 礼は呆れ顔だ。

「それに礼さん、最初に子供は欲しいけど妻はいらないってきっぱり言い切ってたし」
「あぁ、それはたしかに俺の落ち度だな。妻はいらないと思ってたが、君のことはどうしようもなく欲しくなった。すぐに訂正すべきだった。すまない」

 礼は素直に頭を下げる。「なにより、御堂礼さんですよ! 御堂流の御曹司で信じられないほど大きなお屋敷に住んでて、そんな人が私を本気で好きになってくれるなんて……そこまで自惚れられないですよ」

(こんなに素敵な人が私を好きだなんて、今だって夢を見ているような気持ちなのに)
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