消えない傷・消えない痛み

**帰国


凛さんと高木先生の結婚式が
終わったが高木先生の患者さんの
事もあり新婚旅行?は
温泉へと一泊だけと
なったようだ。

そのお土産を届けに
私の家へとやってきた
凛さんと高木先生。

皆でワイワイ····
どうだった?とか
いいなぁ、とか
お土産ありがとう、とか

すると、来客のブザーがなり
母が出て、一緒に入ってきたのは
伊織?

みんな、呆気にとられていた。
アメリカに行くの連絡から
なにもなかったから。

凛さんが
「あんたね·····
と、言うのを
高木先生が手で止めて
「帰ったのですか?」
と、訊ねると
「はい。今日帰国しました。」
と、答える伊織に先生は、
「そう。お帰り」
と、言った。

暖大は、
「いお?」
と、離れた所から訊ねるから

みんな、ん?と不思議そうに·····

すると、またブザーが····
再び母が出向くと
一緒にきたのは蒼大さん。

蒼大さんは、凛さんと高木先生を見て
微笑み。
伊織を見て、誰?と言う顔をしていたが
暖大が
「あっ、パパっ!!」
と、蒼大さんにかけより飛び付くと
蒼大さんが抱き締め、抱き上げながら
私に、どなた?
と、訊ねるから
「甲斐 伊織さん。」
と、答えると
「あ~」
と、言いながら暖大を見る蒼大さん。

暖大は蒼大さんに
「パパ、おわり?」
と、話しているから
「うん、お仕事終わったよ。
ひろは、何してたの?」
と、訊ねると
「じいじとね、ぱあばとね」
と、話していた。

その中で父が
「長く、アメリカに行っていたんだね。」
と、伊織に訊ねると
「はい。
実は····と。

やはり、マリーナさんが
子供を生んでいて
その子は、伊織の子だと。
DNAの検査もして
それからは、あちらのご両親に
挨拶をしたり
日にちがかかったと
言っていた。

一度、お腹にいるときに
妊娠を知らせにきたが
美桜と暖大といる所を見て
なにも告げずに帰国した、と。

生まれてから両親に
叱られて、再び日本へやってきた、
と、話した。

私と凛さんは、その姿を見たと
話してから。
「伊織、幸せになってね。
あなたは、私のそばにいたら
表情は戻らない。
あなたの心の傷
あなたの心の痛みも
私には、治す事は出来ないし
癒す事もない。
それができるのは
私以外の人だと思う。」
と、言うと
「そんな事はない。」
と、伊織は言ってくれたが
凛さんが、あの時を写真に撮っていたから
それを伊織に·····
みんなに····みせると

伊織は、もとより
皆も、唖然······と。

今、私のそばにいる
伊織のそれ(顔)とは
大違いで
「ごめんね。」
と、私が言うと
首をふりながら
「すまない。俺が仕出かした事なのに。」
と、言われた。

すると
「あなたは、あなたらしく
その女性とお子さんを大切に幸せに
してあげて下さい。
美桜と暖大は、私が責任を持って
幸せにします。」
と、蒼大さん。
すると、暖大が手を叩いていた。

伊織は、蒼大さんに抱かれている
暖大の頭を撫でて
「幸せになれよ。」
と、言うと
「ねぇ。」
と、蒼大さんの顔をみながら
言う暖大。

みんなも、伊織の幸せを
願っていると話していた。

高木先生は、帰りに
伊織に暖からの最後の手紙を渡していた。
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