寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「どうして、マダムの事を?」

がーん。本当に実在する人だったんだ。

その人と、保さんが……

嫌っ!考えたくない!


「何を考えているんだか分からないが、マダム百合とは何もないよ。」

「でもっ!ちよさんが言ってたわ。保さんは、女性経験がおありだって。」

「誰だよ、ちよさんって。」

「この屋敷の女中です!」


その時だ。急に戸が開いて、徳次郎さんが部屋の中に入って来た。

「バーボンをお持ちしました。」

そして、ツカツカと部屋の中を歩いて、部屋を出て行ってしまった。

「はぁー。まさか、女性関係の話をするとはな。」

保さんは、手酌でバーボンを注ぐと、くいっと一口で空けてしまった。

「この世界ではね、男子は大人になると、女性と関係を持ち始める。強制的にね。」

「強制的に?」

すると保さんは、椅子に座って足を組んだ。

「僕の場合は、17歳の時だった。まだ、高等学校に通っていた時だよ。しずという僕よりちょっと年上の、女中がいてね。」

「しずさん……」

「その人が、僕の最初の相手だった。」
< 39 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop