寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
私は、その言葉に身体が固まった。

「君のお母さんの面倒を見ると言うのは、君が妾であるからだ。私の反対を押し切って妻になりたいなら、約束が違う。」

「そんな!」

そんな、無慈悲な事を言うなんて!

どうしても、保さんとさわかさんを、結婚させたいの?

家の、仕事の為に?


「私はもう、いらないという事ですか?」

「いや、君は必要だよ。妾としてね。」

私はお父様を見つめた。

「君の好きなようにすればいい。」

お父様は立ち上がると、家の庭を窓から見つめた。


妾としてなら、私は必要とされている。

子供を産む道具として。

でも、保さんの妻としては、必要とされていない。

さわかさんがいるから。

惨めだった。

こんなにも自分が惨めだと思ったのは、初めてだ。


私は弱々しく立ち上がると、頭を下げて、書斎を出た。
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