寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「小花。」

書斎の前の廊下では、保さんが待っていてくれた。

「ごめん、君の事を置き去りにして。父上は君になんて言った?」

「何も。」


きっと、お父様の言葉を言ったら、またこの二人は喧嘩してしまう。

「私、自分の部屋に戻りますね。」

「ああ……」

背中が寂しかった。

本当は、全部打ち明けて、保さんに抱きしめてもらいたかった。

”そんな事は大丈夫。僕が何とかするから。”

保さんは、そう言ってくれる。

でも、この家にはもう、私の居場所はない。


「うっ……」

自分の部屋に戻ると、ドアを閉めて、私は膝を着いた。

今、お母さんを失ったら、私は生きていけなくなる。

お母さんに会いたい。

私は意を決して、身の回りの物を、カバンに詰めた。

もう、この家にいるのはよそう。

どこかで働き口を見つけて、お母さんの面倒は、私が見るんだ。


私は、皆が見ていない間に、裏口からこの屋敷を出た。
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