朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加


「俺の言葉の少なさも悪いとは思うけど、お前は疎すぎる。」

溜息は、本当に呆れているというよりは何処か困ったような色を乗せて吐き出された。

頬を撫で続けてくれる優しい手に自分のものを重ねる。

「疎くない。」

「どの口が言うんだよ。」

「……私だって、全部にセーブしてたから。
そんなこと、全然、思えなかった。
もう迷惑かけないって、それしか無かった。」


伝えそびれた恋心は、自分の中だけでずっと秘めて大切にしようと思っていた。
見返りなんて絶対求めない、求めて良いわけがない。
その閉鎖された狭い思考の中では、男が家に帰っていくことに、そんな理由を思いつくはずが無かった。


「やっぱり疎いだろ。
誰が、好きでも無い奴にあそこまですんの。」

馬鹿、と悪態つく言葉まで愛しいのはどうしてだろう。
重なっていた手は、いつのまにか指を絡ませあいながらシーツに埋められていた。それを片方でも同じようにされて、身動きが取れないと気づいたらまたキスを受ける。


"まあ良いか。後で分からせる。"


そう言っていたのを思い出して、その意味に漸くなんとなく気付いたら、またドキドキが勝手に増してしまった。



「いおり、」

「何。」

「…わ、分からせてくれるの。」

辿々しく尋ねたのに、男は暫しの沈黙の中でおそらくちゃんと、私の意図に気付いて笑う。

まるで了承するようにキスが落ちて、見下ろしてくる表情があまりに優しくて、もう相当緊張はしていた中で、私も自然と笑い返した。


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