朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
あっという間にロンTもキャミソールも全て脱がされて、なんとか露わになった部分を隠したいとシーツを手繰り寄せようとしたら、それを予期したキスに動きを食い止められる。
「ん、っう、」
鼻から抜けていくみたいな声は、本当に自分のものなのだろうか。男の舌先が口内にそのまま侵入して、もっと息が続かなくて、ただひたすら目の前の逞しい身体にしがみつくしか無い。
身体中を指でなぞられて、たまにその輪郭をもう一度確かめるみたいに唇が落ちて、その度に肌は熱を閉じ込めるみたいな火照りが続いた。
溢れる声を抑えようと口を手で覆うことに必死になったら、簡単にその手を拘束してくるから、それもあまり意味が無くて。
部屋に響く自分の声が恥ずかしくて、与えられる快楽に従順に跳ねる身体も当然恥ずかしくて、その度、涙で視界がぼやけた。
「その、」
「…、ん?」
どのくらいその時間が続いたのか、はたまた、まだ一瞬のことだったのか、もうとっくにぼうっとして役に立たない頭ではよく分からない。
それでも依織の顔が見たいと、瞳に張った膜を瞬きでなんとか散らす様子を見守った男がふと、息を溢して柔らかく微笑む。
この男は以前から、こんなに優しい表情で笑う人だったかなあ、なんて、ただその整った顔を見つめながらそんな取り留めもないことを思った。
汗ばんで頬に張り付いてしまっていたらしい髪を丁寧に避けて、顔中に何度も唇を落としてくるその可愛らしい仕草の後、やけに艶っぽい声で「腰、浮かせて」とダイレクトに要求を耳に届ける男の緩急に、着いていけない。
結局抵抗する力もあんまり湧かなくて、されるがままで、腰骨の引っ掛かりも難なくするりと通過したスウェットのズボンがベッドの下に落ちる音を聞いた。
もう本当に、隠せる部分なんか殆ど無に等しいと、衣服の乱れがまだ殆どない目の前の男に理不尽さを感じていたら、なんの前触れも無く、その手が私の太腿の間に伸びていた。
「…っあ、ぁ」
自分じゃ絶対触れない場所に、その骨ばった手が下着の間から直接触れた瞬間、今までで1番大きな声が漏れて、流石にまた、口元を隠す。
なのに、それさえも簡単に剥いで手首を掴んでまたシーツに縫い付ける男は、「隠すな」と当然のように要求してくる。
「いおり、」
名前を呼びながら嫌だと何度も首を横に振っても、まるで子供をあやすような軽いキスで宥めてくる男を力無く睨む。
だってその間も、怪しく動くもう一方の手は止めてくれる気配が無い。
「そんな顔されても。」
「酷い仕打ちを受けてる。」
「どこが。」
「私、ばっかり恥ずかしい、」
つん、と弱い力で男の上の服を引っ張りながらその通りの文句を伝えたら、
「…お前、そういう感じになんの?」
と、謎の問いかけを受けた。
至近距離で見つめあった先の、男の切れ長の瞳には、確かな熱が孕んでいる。
「…どういう、意味、?」
「すごい可愛いって意味。」
予期せぬ言葉に瞬きが増える。
とっくに頬は紅色に染まっていたのに、また火照りが増して、生理的な涙もじわじわ滲む。
「…う、しんどい、」
この男の与えてくる甘さに、
そろそろ耐えられない。
だけど、愛しくてどうしようも無い。
「しんどい言うな。」
クツリと喉で笑った男が、1つまた頬にキスをしてきて、そのまま自分のトップスをちょっと面倒そうに脱ぎ捨てた。