朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加




部屋の真っ暗な闇に漸く瞳は慣れたけれど、どきどきと煩い胸は、全く落ち着かないままだ。


「……心臓の音、やっぱりすごいな。」

「ん、っ」

首筋をつ、となぞった唇がそのまま鎖骨、そして胸元へと降りた時、自ずと私の鼓動も感じたのか、また率直な感想を告げられる。

勝手に測らないでとも言いたかったけど、もう酸素ばかり求める私は、はくはくと浅い呼吸の中で、ひたすらに男の首にしがみついてしまう。


太腿を撫でた手が、私の左足の膝裏に伸びて、器用に自分の肩にそれをかけられた時、何かを察して直ぐに嫌だと何度も首を横に振ったのに、「うん」と困ったように返事だけして、聞いてくれなかった。



「、や、ぁっ、」

男が私の身体を折り畳むように、腰を打ちつけてくる激しさがより増すと、うまく言葉は出ないくせに恥ずかしい声ばかりが自分の口から漏れた。

与えられる快楽にちかちかと星が舞って、だけどまだ意識を飛ばされたくなくて、「いおり」と、繋ぎ止めるみたいに、拙く何度も呼ぶ。


「、きつ、」と、また顔を歪ませながらも、私が男を呼ぶ度に丁寧なキスで応えてくれた。


その合間に再び視線が絡んだ時、どんなに拭ってもらっても涙腺を壊しきって流れていく涙を見て、「泣き過ぎ」と曖昧に笑われる。

「俺が、泣かせてるみたいだろ。」

「、それまちがってない、」

「なんで。」

こんなに泣きたくなるのも、胸がぎゅうぎゅうと締め付けられてしまうのも、隣にずっといたいって思うのも、全部、依織だからだと。

心の底から知ってしまったら、もうあとはやっぱり「好き」しか出てこない。

馬鹿みたいに繰り返していたら、「もう分かった」と軽く制するくせに。

「…俺の方が先に好きになったと思うけど。」

なんて、あまりに優しい顔をして、結局狡いセリフで心の全てを奪っていく男の唇に自分から一つゆっくりとキスをして、その後は全てを委ねた。

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