花を愛でる。
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15分後、駅でタクシーを拾えた私は社長のマンションの前に立っていた。エントランスで彼の部屋番号を打ち込むと通話が繋がり、しばらくして彼の声が聞こえてきた。
「もしもし、社長? 田崎です」
≪いらっしゃい、ちょっと待ってて≫
彼の返事と共に目の前の自動ドアのロックが解除される。
ちょっと待って。今の社長の声、凄く元気だったような気が。
駆られるようにエレベーターに滑り込み、最上階の彼の部屋へと向かう。
部屋の玄関前に着き、インターホンを鳴らす。聞こえてきた彼の声はやはり電話で聞いたものとは違ってハッキリと耳に届いた。
目の前のドアが開き、彼が私の前に姿を現す。
「あれ、なんか怒ってる?」
「……」
けろっとした顔で悪びれることなく私の前に現れた彼に心配してここまで駆け付けた自分を猛烈に後悔した。
「帰ります」
「えー、いいじゃん。寄っていきなよ」
「無駄足だったようなので」
待ってと手を取られて振り払おうとするがその強い力に封じ込められてしまう。