花を愛でる。



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意識を浮上させたのは髪に触れる柔らかい掌の熱を感じたからだ。スイートルームのベッドの上で目を覚ました私の視界に入ってきたのはパソコンの画面を覗いている社長の横顔だった。
ベッドルームのガラス窓から差し込む朝の陽ざしに照らされる彼の横顔を不覚にも美しいと思ってしまった。

いつ部屋に来たんだろうと未だ覚醒しない脳で考えていると不意にこちらを見た彼と目が合う。
ふっと目を細め優しく微笑まれ、何故かドキッと胸が高鳴った。


「おはよう、普段と逆だな。よく眠れた?」

「……いつ来られたのですか?」

「ついさっき解放されてね」


よく見れば彼の顔には疲れが残っており、あれから一睡のしていないことを見て分かる。本当にずっと接待をしていたんだ。
ゆっくりと身体を起こすと彼が膝の上に置いていたノートパソコンを閉じ、私の頬に手を寄せた。


「まだ疲れているみたいだから寝たら?」

「……いえ、それより社長も休んでください。朝は何か食べました?」

「ううん、まだだけど」


何してたんですか、と尋ねれば「花の寝顔見てた」とあっけらかんに答える彼。
何故そのようなことを……と呆れていると一瞬彼の着ているシャツから甘い香りが鼻を擽った。


「(あ、これ……)」



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