花を愛でる。
向坂と黛、どちらもこの国を代表する大財閥。だからこそ昔からの関わりや因縁があるのかもしれない。
私は彼の身辺のことを何も知らない。今回のことだってどうして彼がパーティーに呼ばれたのだって調べようともしなかった。
心のどこかで、彼と距離を取っていた。
その事実を叩きつけられ、私はベッドを抜け出すとロビーの受付から受け取った鞄の中から自身のノートバソコンを取り出した。
「(黛グループの次期党首は確か……)」
はやる気持ちを抑えつつ、その名前をキーボードで打つ込むと名前と一緒に顔写真が検索された。
「黛、恭一……」
彼と同年代の凛々しい顔をした男性の写真が目に入った。この人が新しく黛グループの会長に就任した財閥の跡取り。
そしてあの時会った黛さんはあの若さでこの人物の秘書を務めている。
『俺は直接会わないだろうけど『おめでとう』とだけアイツに伝えておいてくれる?あと『調子に乗らないように』って』
社長はこの人とも知り合いなんだろうか。黛恭一について調べていると遂に二人の共通点を見つけた。
それは社長と彼が幼稚舎から大学まで、通っていた学校が全て同じであることだった。
「(そういえば腐れ縁って……)」
しかし腐れ縁というよりもこれじゃ幼馴染になるのでは……
ノートパソコンを閉じると再び天井を見上げる。まだ彼について知らないことの方が多い。
今まではそれでいいと思っていた。私たちは仕事上の関係で、いくら身体の関係を持っていようが互いのプライベートには干渉しない方がいいと思っていたから。
だけど彼の身を置く環境が、周りを渦巻いている人間関係が、今後の仕事に影響を与えるのであれば“知らない”を理由に業務を疎かに出来ない。私のプライドがそれを許さない。
黛さんにあって私にないもの。グループを背負う人にどれだけ寄り添終えるか。
明日からまた気を引き締めて頑張ろう。