丸重城の人々~前編~
「ただいま!柚希~」
「いねーよ。兄貴も!」
「部屋かしら?
ちょっと、あんた達そこに食材置いて!」
「ちょっと部屋行って、呼んでくる!」
中也が大翔達の部屋へ。
響子は男達に買わせた食材を広げ、整理させている。
「さっさと整理して、出ていって!
柚希があなた達見たら、怖がるから!」
「はい!」
完全に響子のパシリのようになっている。

「響子、おかえり」
「あー大。柚希は?」
「もうすぐ起きてくる。緊張の糸が切れたみたいで、寝てたんだ」
「そう…かわいそうに…」
「で?コイツ等何?」
「響子のパシリだよ!食材とか買わして、荷物持ちにさせたんだよ!」
「ふーん。でも早く出ていかせろよ!柚が来たら、また怖がらせるだろ?」
「わかってるわよ!早くしなさいよ!」
「はい!すみません!」

「ごめんね!響ちゃん、お待た…せ…。
え?この人達……なんで?」
「あっ柚希!」
途端に身体を震わせる、柚希。
そのまま後ずさり、ペタッとへたりこむ。
「柚!」
「あ…はぁはぁ……」
大翔が抱き締め、背中をさする。
「大丈夫だ。俺がいるから…。
おい!早く出ていけよ!」
「はい、すみません!失礼しました!」
急いで、男達が出ていく。
「柚希、奴等出ていったよ。もう大丈夫…!」
中也が柚希の頭を撫でた。

「はぁはぁ…うん…ありがと…」
大翔と中也に背中と頭を撫でられる、柚希。
しばらくすると、落ち着きを取り戻した。
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