丸重城の人々~前編~
「もう////あんまからかわないで下さい!」
そう言うと、広子の手伝いにキッチンへ行った柚希。

「ほんと綺麗になったね、姫。
翔が羨ましいな……」
「玄、まさか本気かよ?」
「そうだね…?」
「玄?」
「フフ…大丈夫だよ?俺もバカじゃない。翔や中也の怒りを買うようなことはしない」
「だったらいいけど……」


「ただいまぁ、柚~」
「あ、大翔だ!」
タタタタッと小走りで玄関に向かう、柚希。

「おかえり!大翔」
「んー。俺のオアシス…」
「だから、くすぐったいよ……」
「フフ…これが、あの最強・最悪の“冷酷な翔”かよ!」
「んぁ?お前、玄?なんでいるんだよ!」
「姫と、広子さんがご飯ご馳走してくれるって!だから、いる」
「はぁ?どうゆうことだよ、柚」
「今日買い物の荷物持ちしてくれたの。結構買っちゃって…たまたまいた玄さんが、ほとんど運んでくれたの」
「は?てか、帰れよ!お前、邪魔!」
「フフ…いいじゃん!翔」
「うるさい!察しろ!」
「え……?どうしてそんなこと言うの?大翔酷いよ…
お礼なのに…!
もういいよ!」
そう言うと、キッチンに戻ってしまった。
「怒られた…(笑)
翔に怒るとか、スゲーな姫」
「うるせーよ…お前…わかってるよな…?」
「だから!中也にも言ったが、二人の怒りを買うようなことしないよ!
たださ、本気だったら許してくれる?」
「は?お前…」
「びっくりしたよ…こんなに綺麗になってるなんて……翔が手放したくない理由がわかるよ…」
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