森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ***


 ロスティの大使館は、首都の外れにある。
 ガタゴトと舗装も満足にされていない畦道(あぜみち)のような道を、美しい馬車が走っていく。

 そうして訪れたロスティの大使館は、外観は軍事大国らしい無機質な印象を受ける建物だった。だが、意外にも中に入ると、そこは王宮のように絢爛豪華だったのである。

 床に敷かれた絨毯は、ベッドかと思うくらいフカフカしている。

 革張りのソファはツヤツヤとしていて、座って汚さないか心配になった。リディアは慣れないヒールの靴なんて履いてきたものだから、早々に根を上げて座っていたけれど。

 ようやく覚悟を決めて座ったのは、リディアの隣の席だ。

 だって、今日のエディはリディアの恋人なのである。離れて座る方がおかしい。

 子ネズミのように体を縮こませてソファへ座るエディに、リディアは内緒話をするようにヒソヒソと話しかけた。
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