森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 真剣な目でジッと見つめられて、エディは観念したように「分かった」と答えた。

 それでも、まだ目を合わせて伝えられるほどにはなっていなくて、目を伏せる。

「ロキースに、触れられることが怖くなったんだ。ジョージ様に、魔獣を殺さなくてはいけなくなった時、どうするのですかって言われただろう? 僕はあの時初めて、今まで仕留めてきた魔獣たちが、ロキースみたいな、人に恋する魔獣だったかもしれない可能性があることに気がついた。それからかな、何回も何回も悪夢をみた。悪夢ではロキースが「愛しているのに、なぜ?」って僕を責めてくる。僕は怖くなった。いつかロキース本人からそんなことを言われるんじゃないか、僕を甘やかすみたいな優しい目が、なくなっちゃうんじゃないかって。だから、行けなく、なった……」

 グス、とエディが鼻を鳴らす。いつの間にか、その目にはじんわりと涙が浮かんでいる。

 両手が塞がっていたロキースは、そんな彼女の額にコツリと自身に額を押し当てて、至近距離から見つめた。
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