はじめてのカレカノ

「高槻先輩に、何が、あるんですか?」

「あなたね。そんなこと私から言うわけないでしょ。私は翔とずっと一緒にいるの。翔が苦しい時だって側にいたのよ。それをパッと出てきたあなたに邪魔されたくない。分かってよ」

「・・・。」

「それだけよ、言いたかったことは。翔の時間を取らないで」

それだけ言うと岡崎先輩は教室へ戻って行った。

取り残された私は、

『翔の時間を取らないで』

という言葉の意味を繰り返し考えたけど、何も考え付かず、ぽっかりと心に穴が開いたような気がして立ち尽くした。

「まだ修羅場の方が良かったな」

ポツリ呟いて、私は高槻先輩の何を見てきたのだろうか。

ただただ青い空を見上げることしかできなかった。
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