はじめてのカレカノ

すると先に帰ったはずの白井くんが玄関まで戻ってきて、

「立花さん、彼氏さん校門のところに一人で立ってるよ。盗撮のチャンスじゃない?」

翔が待っていてくれてるの?本当に翔なの?

会いたい、翔。今すぐに会いたい。

「白井くん、教えてくれてありがとう!バイバイ」

私は重い荷物を抱えて校門まで走った。

校門までの時間がもどかしくて校庭の真ん中で、まだ沢山の生徒がいる中で、

叫んだ。

大声で叫んだ。

『しょーーう!た・か・つ・き・しょう!!ただいまー!翔!!』

まさか大声で叫ばれるとは思っていなかったのだろう。

翔は私に気付き、びっくりしている。

「しょーーーっ  キャッ!」

と、キャリーケースの車輪が急にロックして、荷物もろとも派手に転んだ。

「痛ったーーーい」
< 280 / 312 >

この作品をシェア

pagetop