はじめてのカレカノ
翔が慌てて駆けてきてくれる。
私は翔が来るよりも早く立ち上がると、キャリーケースをその場に残し、翔の元へ駆けた。
「翔!」
駆けた勢いそのままで翔の胸に飛びついたから、翔を押し倒してそのまま二人で校庭に崩れ落ちた。
「痛ってー!何回転ぶんだよ。俺も一緒に転んだじゃねーか」
「翔、翔、会いたかった。大好きだよ、翔」
「ちょっ、結月、何やってんだよ」
「翔、なんか色々ごめん」
「ばか結月」
そう言って翔は校庭に寝転んだまま私をギュッと抱きしめてくれた。
「あーーー、言いたいこと沢山あったのに!なんかもういいや」
寝転んで抱き合っている私たちの脇を帰宅する生徒たちが横目で見ながら通り過ぎて行く。
『なんだ、別れてないじゃんあの二人』