平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
山の木々は、夏に向けて葉を茂らせて濃く色付いている。目を凝らしても、動物一匹見付けられる気がしない。

もし取り返しのつかないことになったら……と、脳裏にあの時がシモンとの最後の会話になる想像が過ぎった。

そんなことになったら、きっと一番悔やむのはジェドだ。

自分の相棒がいなかった時も、部下や周りに弱みを見せなかった、とても人や獣のことを考えている人。

きっとジェドは、耐え忍んで一人後悔に苛まれるのだろう。そんな光景が想像された途端、もう居ても立ってもいられない気持ちになった。

――この人の心まで、傷付けたくない。

支えたい。そう確かな思いを胸に、リズはギリギリまで頭を出して、眼下の山々をかぶりつくように見た。

高いところは、まだ恐い。

でも、カルロが、そして団長様がいてくれる。だから必死に目を凝らした。

「お願い。どうか、彼を見付けさせて」

山に呟いたとしても、応えてくれるはずがない。それでもリズは、祈るような言葉を口にせずにいられなかったた。

「リズ……」

ジェドが、必死なリズの横顔に唇を引き結んだ。止めようとしていた手を、彼女をしっかりと支えるために動かした。

より強く支えてきた腕に気付いて、リズはハッと目を向けた。

「団長様」

「リズ、俺も全力で探すから。だから泣くな」

「なっ、泣いてなんかいませんっ」

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