平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
リズは、赤紫色(グレープガーネット)の大きな瞳に大型獣を映して思った。騎獣されていない彼は飛行できない。それなのに落下なんて速めてしまったら……。

そんな中、どんどん亡霊との距離が縮まっていく。

《アティーシャ様》

――いや、同じく幸運の娘、リズ。

不意に、そんな獣の言葉をリズは聞いた気がした。

亡霊が死に物狂いで、こちらへと駆けるように落ちてくる。その切羽詰まった必死な目を見た途端に、もう恐怖はなくなっていた。

そうか、私をその子に重ねていたのね。

だから本気で、カルロに攻撃できなかったのだわ。

リズは全て腑に落ちた。シモンを片腕で抱き締めたまま、恐れもなくもう一つの手を伸ばした。

すぐそこまできた亡霊が、立派な前足を伸ばしてきた。壊れ物でも扱うかのように慎重に、そっとリズとシモンの身体を抱き寄せてくれる。

黒い霧が滲む獣の手は、温かかった。長い毛並みは、出会ったばかりだった頃のカルロを思い出させた。

「助けてくれて、ありがとう」

リズはとても優しい気持ちで、穏やかに微笑みかけた。

そう伝えたら、亡霊がくしゃりとした。あっという間に潤んだ紫色(バイオレット)の目から、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。

《――いえ。ようやく、お助けに間に合って、ようございました》

悲しむ顔で亡霊が笑いかけてきた。

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