平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
ぶるりと震えたカシムは、ジェドの問い掛けに首を小さく振った。

「遠目から一度見掛けましたが、かなり大きな獣でした。ですが異様で、これまで見てきたどの獣とも違う、としか……」

苦悶の吐息をもらして、組んだ手にカシムが額を押し付ける。

「獣相手だけであれば良かったのですが、そこに人間が付いているとなると知恵もありますでしょうから。……この村は、住んでいる者の数は少ないのですが、商人の行き来が多いのです。もしものことが起こってしまったら、彼らを送り出した村や町の家族も、友人も、きっと……」

呻くような声が、そこで途切れる。

村人と来訪者の身を心から案じているのだ。コーマックが立ち上がり、きつく握られたカシムの手をそっと開いた。

「だから我々にまずは内密に調べて欲しい、と依頼したわけですね?」

「左様です。獣騎士団が入ったとあれば、さすがの相手も警戒して姿を見せないという対策に出る可能性もあるでしょう」

そうされると、こちらとしても調査が進まないことになる。

少しでも早く解決したい。そう願うカシムが、コーマックに勇気付けられたように言葉を続けた。

「村内の実被害は、村の端にある農屋と蔵、併せて三件です。家畜の被害はまだ出ていませんが、出くわした者の中で軽傷者が数名おります」

声色に憂う様子が滲んでいた。

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