天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


大西くんが阿部先生の“仮説”を伝えに行った後、5番打者を敬遠して・・・

悔しいけど6番打者にバントをしっかり決められて・・

7番打者を再び敬遠して、
満塁策を取って・・



<<<・・・・!>>>>
「「「「・・・・・!」」」」


一気にサヨナラ勝利を決めたい一塁側ベンチ。

なんとか延長戦に持ち込みたい三塁側ベンチ。


みんなが自分の両手をギュッと握りしめて、

それぞれの祈りが、
フィールド上で交錯する・・!


「・・・ハァハァ・・ハァハァ・・。」


ここはフォアボールも許されない極限の状態。


酷暑の日射しに打たれながら、

正津くんが“ウンウン”とキャッチャー中村くんのサインに頷く。


「「「「・・・・・。」」」」


龍ちゃんたち内野陣は、
バックホームに備えて前進守備を敷く。



「・・・ハァハァ・・ハァハァ・・。」


9回裏[1―1]・・1アウト満塁。


滝のように吹き出る汗の中・・
正津くんが相手8番打者に投げ・・


“!!!!”


「あっ・・!!!?」
「くそっ・・センター!!!」

「「「「!!!?」」」」


前進守備を敷く内野陣をあざ笑うかのように・・センターへと高々な打球が上がった。


<<<<!!!>>>>


伸びは無い・・・。
でも【犠牲フライ】には十分な距離。

“勝利”を確信した一塁側ベンチがみんな身を乗り出して、拳を突き上げる・・・。


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