35cmの音
「だから俺も、親には頼らずちゃんと自分で稼いで
咲那を...立派な人間になろうって決めたんだ。」

親や、ばーちゃんのお金で咲那を幸せにするのは違うと思ったから。

「へーアンタにそんな事を言わせるなんてすごい子だね」

いつまでも夢を追いかけず、会社を継ぐ訳でもなく
ただ逃げているだけの俺のまま

「うん。咲那がいたから頑張れたんだ俺」

咲那に想いを伝えることは出来なかった。

「でもそんな良い子を待たせちゃいけない。」

じーちゃんはばーちゃんを待っていた
ずっとずっと待っていた

だけど、病気で早くに亡くなった。

ばーちゃんはそれをずっと後悔していた。

「ちゃんと分かってる。」

成功するかも分からないのに、
自分で稼げるまで待ってて欲しいなんて言えなかった。

「言わなかったんだね。」

失敗して俺のせいで咲那まで不幸にしたくはなかった。

「うん」

俺が好きだと言えば待たせることになるから
最後まで言えなかった。

「アンタもまだまだガキだねー。はは!」

「ばーちゃんひでーな」

「いつか迎えに行っておやり」

「そのつもり」

「まぁ、そんな良い子なら誰かに取られるだろうね~」

「もう、ばーちゃん!」

それは痛いほど分かってるから!
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