お願い、あと少しだけ
金曜の夜
翌日の金曜日の終業後、奈緒子は亜由と奈由美とカフェにいた。最終新幹線の出発の時間まで付き合ってくれるというのだ。

「あ~あ、ホント行っちゃうんだよね。淋しいよぉ、奈緒子ぉ」

切なげに訴えかけてくる亜由。返答に困っていると奈由美が、

「こらこら、奈緒子を困らせないの。弘樹との大きな一歩なんだから。結婚式には招んでよね?」

・・・って言った。奈由美、それは先走りすぎだって。確かに、一緒には住むけど、「約束」の言葉なんてない。

「・・・わかんないよ?先のことなんて」

「でも、一緒に住むんでしょう?」

「んん~、そうだけど」

弘樹は、将来のこと考えてるのかな?一緒に食器とか見て、それって将来の事も考えてくれてるのかな、って思ったけど・・・。

「奈緒子」

奈由美が私の手をギュッと握って。

「奈緒子、思い切ってプロポーズしちゃいな!!」

「ええっっ??」

「弘樹ってこう・・・優しいんだけど、あともう一歩のところが甘いのよね。イマドキ、女の方からのプロポーズも珍しくないよ」

「そうそう、それがいいよ。お互い、好きなんでしょ?」

亜由も調子を合わせる。

「ん~」

2人の後押しに乗っちゃっていいモノかどうか、考えあぐねる奈緒子だった。

「奈緒子、私たちはどんな奈緒子でも好きだけど、弘樹を好きなパワーで突き進める奈緒子が一番好きだよ」

亜由が言う。

「うん。奈緒子が弘樹を好きな気持ちはすっごい伝わってる。弘樹もすっごく奈緒子のこと愛してるんだろうな、って思うよ」

と奈由美。

「そうだね。すこし、2人で将来のこと話してみるよ」

抱き合って、それからだとは思うけど、と奈緒子はこっそり思った。
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