ばいばい、処女。
「長かったね、お湯に浸かってたの?」
「あー……うん」
やっとスマホから顔を上げた彼と目が合った。
「誘ってくれたら一緒に入ったのに〜。
残りあと…15分か、ギリギリだな」
なんだろう、この感覚。
「俺もシャワー浴びてくるわ」
「うん、いってらっしゃい」
彼が今度はお風呂場に向かい、またこの部屋には1人。
さっき彼が腰掛けていたソファーに何故か座りたくなくて、でもだからといってベッドにも座りたくない。
仕方なくソファーの下に腰を下ろした。
少し遠くの方からシャワーの音と邦楽の明るい曲が聞こえる。
きっと彼が音楽を流しながらシャワーを浴びてるからだ。
彼は決して悪い人ではない。
いつも優しいし、話してると気持ちが楽になる。
学年が違うのに彼の評判が私の耳にも入る程慕われていて、いつもグループの中心にいる様な人。
だからだ。
きっとだからいつもスマホを突いているだけ。
だから、私の腫れた目にも気づかなかっただけ。
きっと、スマホから離せない大切なメッセージがきたんだ。
だから、、、顔を見てくれないだけだよね…?