溺愛プロデュース〜年下彼の誘惑〜

額に手を当て項垂れる然さんは
さっきと違い怒っていると言うよりかは
酷く落ち込んでいるように見える。

そんな彼を放っておけなかった私は
拒絶される恐れがありながらも
声を掛けてみる事にした。

「…然さん」

聞こえるか聞こえないか本当それくらいのレベルの 、か細い声になってしまう。

それでも届いていたみたい。

「あ…ごめん、由凪さん。
 取り乱してた…」

完全に自分の世界に入っていたのか
声を掛けられた事によって現実に戻ってきたらしく、顔を上げる彼からはそれほど殺伐とした雰囲気は感じられない。

だから私も普通に接してみようと思えた。

「何かあった…?」

程よい距離感を保ちながら
彼の座る席の近くまで戻ってみると
意外と別の反応が。

「困った事が起きてしまってね。
 これを見て。」

画面を指さす然さんの隣に移動し
『失礼します』と遠慮がちに”それ”を見た。

そこに映っていたのは
さっき美南さんと話していたワンピースの洋服。

「これって、さっきの…」

もちろん然さんには初耳。
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